ゴールドシップのファンの間では、今浪厩務員は言わずとも知れた存在です。
今浪厩務員といえばゴールドシップ、ゴールドシップといえば今浪厩務員というほど、切っても切り離せない関係であることは周知の事実。
2019年の6月、ビッグレッドファームでゴールドシップの元担当厩務員の今浪さんに、偶然お会いした時のことをご紹介しようと思います。
ビッグレッドファームで今浪さんに会ったときのこと
この日、ビッグレッドファームを見学していましたが、他の牧場見学の予定があり、15時前に事務所にナンバーカードを返却するために戻ってきました。
以前は、ビッグレッドファームを見学する際には、記帳後に首からナンバーカードを下げるスタイルでしたが、2023年現在はナンバーカードは廃止となっています。
事務所の周りには人だかりができていて、いつもとは違う雰囲気が。
先を急ぐ私はそれほど気に留めることもなく、事務所のドアに手をかけると、突然目に飛び込んできたのは、お馴染みのブルゾンを羽織った男性の後ろ姿でした。
え、ちょ今浪さんが!!
驚きのあまり私はすぐに踵を返し、花道を作るかのように整列している見学者たちの列に加わります。
皆さんは、今浪厩務員がこの日にビッグレッドファームに来ることを事前に知っていたようで
「えっ!知らずに来たんですか⁉」「逆にすごくないですか?」と驚かれました。
我ながらも「すごいな」と自負しております。
そして、事務所の扉がオープン・ザ・ドア。
ゴールドシップを手掛けた今浪さんが姿を現します。
漠然と「いつかはビッグレッドファームで会えたらいいなー」とは思っていましたが、まさかその日がこの瞬間に訪れるなんて思っていなかったので、感動もひとしお。
今浪さんの後に続いて、花道隊の皆さん(私も含めて)がゴールドシップの放牧地に向かいました。
ゴールドシップと今浪さんが再会
ゴールドシップの放牧地に辿り着くと、今浪さんは早々にゴールドシップを呼びます。
「おーい、シップ!何してんの?」と指を鳴らしました。
それに気が付いたゴールドシップは今浪さんに真っすぐに近寄ってきました。
やっぱりゴールドシップは今浪さんが大好き
ゴールドシップは、これ以上今浪さんのお側に行けない不満を訴えるように、柵を崩壊しようと前脚でガリガリ。歯がゆい光景です。
どうにか今浪さんとスキンシップを図ろうとしているゴールドシップがとても可愛かったです。
須貝厩舎でゴールドシップが遊んでいたタオルを差し出す今浪さん
ゴールドシップが現役のころに振り回して遊んでいたタオル。
今浪さんによると、こちらのタオルは洗濯はされていないとのこと。
ゴールドシップはタオルに対して興味を示しますが、タオルの匂いをクンクンと嗅いだだけで特に反応はありませんでした。
ゴールドシップと会話をする今浪さん
ゴールドシップが現役時代に装着していた蹄鉄。
これを今浪厩務員がゴールドシップに見せると、ゴールドシップは激昂。
前脚でドン!!と力強く地面を踏みつけて怒ります。
それを見た今浪さんは
「あ~、もうわかったわかった!汗」と逃げるように仰っていました。
ゴールドシップと今浪さんが会話してる…。
この光景を目の当たりにした時、「ゴールドシップは本当に人間の言葉を理解している」という確信がグンと強まった瞬間で。
少なくとも今浪さんの言葉は理解しているようでした。
蹄鉄を見たゴールドシップは競馬を思い出し、「もう走りたくない」と激しくアピールしていたように感じます。
このあと、今浪さんを囲む形でゴールドシップ談義になり、瞬く間に見学時間のタイムリミットを迎ええることに。
今浪さんは、この翌日もビッグレッドファームに訪問すると仰っていたので、翌日も意気揚々とビッグレッドファームに向かうことにしました。
翌日もビッグレッドファームで今浪さんとゴールドシップ談義
翌日の10時過ぎにビッグレッドファームに到着すると、すでに今浪さんはゴールドシップの放牧地に。
この日も今浪さんとゴールドシップ談義を交わしましたが、凱旋門賞のことや引退式のこと、そしてゴールドシップが須貝調教師のことをどう思っているのかなど、興味深いトピックが盛りだくさんでとした。
ゴールドシップのお世話中に頭からボロを浴びる
ゴールドシップの後ろ脚を洗っている最中に、ボロをしたゴールドシップ。
かがんで脚を洗っていた今浪さんが、頭からボロを被る状況になってしまったとのこと。
今浪さんは「かがんでる時に、信じられへんやろ?」と、訴えかけるようにこのエピソードを語ってくれましたが、とても面白かったです。
今浪さんにとっては災難だけど、ゴールドシップらしくて笑えます。
ジャスタウェイの追切り相手に使われて嫌だった
2014年の凱旋門賞帰り、同厩舎のジャスタウェイがジャパンカップに出走することになります。
須貝調教師は「ジャスタウェイの追切りの相手はゴールドシップぐらいしかいない」と。
また、追切りの相手としてゴールドシップを使うことでメディア露出の側面からも最適だと判断し、ジャスタウェイの追切りの相手にゴールドシップが選ばれることに。
この時、今浪さんの気持ちは、「凱旋門賞から戻ってきたばかりで無理はさせたくなかった。追切りに使うと、またゴールドシップの調子が崩れるから嫌だった」と熱く語ってくれました。
今浪さんの心の底からの思いが、表情や言葉に明確に現れていました。
他にも、今浪さんからゴールドシップの現役時代の貴重なお話をたくさん聞かせてもらいましたが、掲載する範囲については判断がつかないため、詳細には触れません。
この日、今浪さんは函館に戻る予定でしたし、私も帰りの飛行機の時間が迫っていたので、新千歳空港に向かうことになっていました。
今浪さんと一緒にビッグレッドファームを後にして、そこでお別れとなったのですが。
その30分後に道の駅で今浪さんと再会
今浪さんと別れた30分後に、道の駅「サラブレッドロード新冠」で、まさかの再会。
今浪さんは道の駅のお土産ショップで、夢中になってゴールドシップのグッズを探していたので、私もお手伝いさせていただきました。
道の駅で二度目のお別れを告げて、各自新千歳空港へ。
まとめ:今浪さんは親しみやすさとファンサービスが無限大
- 初対面でもフレンドリー
- 以前からの知り合いだと錯覚させるほど親しみやすい人柄
- 質問に対しても快く答えてくれる
- メディアでの印象よりも、ややテンションが高めで明るい
- とにかく笑顔が多くて素敵
また、ゴールドシップのファンのことも、とても大切に思ってくれています。
ゴールドシップについて語るときの今浪さんは、目がとてもキラキラしていて、まるで少年のよう。
この2日間、今浪さんとの会話を通じて感じたのは、今浪さんがゴールドシップをいかに愛しているか、ということ。
とにかくゴールドシップへの愛がビシバシと伝わってきました。
本当に、貴重な2日間をありがとうございました。
また、ビッグレッドファームでお会いできることを楽しみにしています。